BOS期のエルフについて

 今期、エルフというリーダーはtier1の一角であり、環境を語るには不可欠な存在です。

昨期までのエルフなら知っている方も、今までエルフを触らなかった方も、エルフについてまずスタート地点にこれを読んでくださる皆様が立てるよう、筆を執った次第であります。

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 皆様がご存知の通り、エルフには様々なアーキタイプが存在します。冥府エルフ、OTKエルフ、アグロエルフテンポエルフミッドレンジエルフコントロールエルフetc…


 ですが、「BOS期のエルフ」に限って言えば、エルフのデッキは大別すると一種類のアーキタイプしか存在しません。


 えー!?と思われた方、多いかと思います。しかも、「大別」の定義によっては先述の発言は間違いにもなり得るので、あくまでこういう考え方があるという認識でお読み下さい。

 

 今期、有力なエルフのデッキは2種類あるというのが皆様の共通見解だと思います。

一つは、アグロエルフ。

もう一つは、ミッドレンジエルフ。

これが現時点で環境にある程度存在しているエルフのデッキになります。


やっぱり二つあるじゃないか………と思われたかと思います。でもこれで、私の言いたいこともわかったのではないでしょうか。


私が言いたいのは「この二つのデッキは大別すると同じアーキタイプである」ということです。


そもそもアーキタイプの定義は難しく、定義によってはこれらのデッキは別のアーキタイプですが、私の定義では以下のような理由でこれら二つのデッキを同じアーキタイプであると定義しました。


それは二つとも「中速ビートダウンデッキ」であることです。

え?アグロエルフはアグロだから中速ではないのでは?

そう思われる方が大半かと思います。ですがその実、アグロエルフというデッキは他のアグロデッキと比較すると明確に中速デッキであることがわかります。


アグロとは何か。アグロとはアーキタイプの大別の総称で、高速で決着をつけるデッキを指します。アグロデッキには、ボードを序盤暴力的に取り、そのボードから大量の打点を産み相手を削り切るデッキから、火力の優秀さを頼りボードを無視して手札から相手の全体力を削りに行くものなど、様々な型のデッキタイプが存在します。


 ではここで、アグロエルフとフェイスロイヤルを比較してみようと思います。

アグロエルフの勝ち筋は、大量のフェアリーを並べ茨の森でそれらのバリューを高めボードを支配し、妖精の調べや妖精の使役者で一気に打点を伸ばすことです。


 アグロエルフの現状のフィニッシュ手段は基本的に使役者で、試合を決めるターンは大抵7~9tであることが多いかと思います。場合によっては10t以降も粘り強く削り続けて勝つケースも多いはずです。


 対するフェイスロイヤルは、序盤から潜伏フォロワーや疾走フォロワーを並べ殴り、5tにマスタークノイチを置いてボードに火力をセットし、ロイヤル側が逆リーサルを食らう前に削り切るのが勝ち筋です。フェイスロイヤルのリーサルターンは、6~8tになり、これ以降になるとフェイスロイヤルは勝ち筋が残らずコンシードする場面が多いかと思います。


 ここでフェイスロイヤルの全盛期、SFL期のRAGEでくろぬえ選手が使用したフェイスロイヤルのレシピを貼っておきます。

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このRAGE SFLにおいて、くろぬえ選手がこれぞアグロデッキの真骨頂と言えるプレイングを見せ見事勝利したマッチが私の中で強烈に印象に残っています。


 対面はドラゴン。ターン終了時にリーダーを3回復し続ける厄介なフォロワー、水龍神の巫女をくろぬえ選手は無視し、見事に勝利を収めたのです。


上述のケースは極端な例ですが、アグロデッキは相手のフォロワーを無視して顔を詰めるシーンがかなり多いですが、対するアグロエルフにおいてはそういうケースは少ないと思います。それはアグロエルフのフォロワー一体一体は貧弱であまり打点にならず、次のターン残ったフォロワーにバフをかけて打点を出す必要があるからです。


 顔とボードの殴り分け。ここの意識の差でも、アグロエルフと他のアグロデッキは明確に違うことがわかります。


 また、単純にリーサルターンもアグロエルフは遅めです。


 さらに、アグロエルフは往々にしてロングゲームにも耐え、勝ち切ることが他のアグロデッキと比べて格段に多いです。


「アグロ」という言葉の語源は「aggressive」であり、攻撃的なという意味なので、序盤から強く動く点からアグロエルフがアグロデッキであることは間違いないのですが、その実回す上で求められる意識や実際の動きはミッドレンジ系統に属すると私は結論づけました。エルフを初めて触る人が、「アグロエルフ」だと思ってエルフを触るとおそらくドツボります。これはミッドレンジ系統のデッキだと思って、使ってみてください。全然感触が変わると思います。


 では、これら二つの存在意義について。

アグロエルフの存在意義は明確です。エルフで最も強いパワーデッキです。

対するミッドレンジエルフは、アグロエルフの勝ち筋を希釈しその代わりよりロングゲームに特化しアグロエルフの不利対面を抜きに行くのが存在意義になります。

そのため、「どの程度希釈して薄く広げるのか」というさじ加減によりミッドレンジエルフは形を変えるので、ミッドレンジエルフには多種多様な形が存在します。



さて、今期ローテーションのエルフの在り方についてはおおかた説明しましたので、次のブログにてアグロエルフとミッドレンジエルフのデッキの中身についてお話しようと思っております。


ではまた次回、お会い出来ることを信じて。